2023.08.18

研究者にとって自分の影響力を知るとは―その方法と活用―

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はじめに

 自動車教習所の社長であり、社長のためのリーダーシップコーチである髙橋明希さんが、このたび「あなたの影響力を知る!タイプ別診断」を考案されました。

 髙橋さんは、現在「社長のためのラウンジ」というFacebookグループを運営されていますが、そのメンバーが100名を越えた記念として、参加者の皆さんに感謝の気持ちを込めて開発されたものだそうです。

 このたび「あなたの影響力を知る!タイプ別診断」を知り、細やかな好奇心からトライしました。このタイプ別診断を行うと、その人のタイプに合わせたワークブックが送られてくるのですが、そのワークブックが私にとって、特に研究者という立場から非常に示唆に富むものでした。

 そこで、同診断を受け、「タイプ別WORKBOOK」に取り組んだ結果、自分が学び取ったこと、研究者が自分の影響力を知ることの意味など、この「タイプ別WORKBOOK」の一活用事例として記録しておきたいと思います。

自分のタイプを知る―あなたの影響力を知る!タイプ別診断―

 「タイプ別WORKBOOK」を受け取って行うには、まず「あなたの影響力を知る!タイプ別診断」を受ける必要があります。

 髙橋明希さんのウェブサイトhttps://aki-takahashi.mykajabi.com/ にアクセスし、Homeをスクロールしていくと、「あなたの影響力を知る!タイプ別診断」が出てきます。名前(ニックネーム可)とメールアドレスを入力し、「スタート」のボタンを押すと、診断に進みます。

 診断にある25の質問に回答し送信すると、自分のタイプの診断が表示されます。そこに自分のタイプのワークブックのPDFがダウンロードできるように表示されます。メールにも自分のタイプとワークブックのリンクが送られてくるので、それをダウンロードすることで、「タイプ別WORKBOOK」を受け取ることができます。
 ちなみに私はHUMORタイプでした(ほかにどんなタイプがあったか、記憶が定かではありません…)。

「タイプ別WORKBOOK」について

 私が受け取った「タイプ別WORKBOOK」(以下、ワークブック)は”HUMOR”です。表紙に続き全16ページにわたるボリュームで、大変充実しています。

 構成は、「HUMORストーリー」(2ページ分)、それに続いて「未来のあなたをイメージしましょう」(4ページ分)、「未来のあなたを叶えるために」(7ページ分)、「自分への感謝」(1ページ分)までがワーク、そして最後に「ワークを終えたあなたへ」(2ページ分)となっています。「HUMORストーリー」は、このタイプの説明が書かれています。一種の心理テストの結果のような感じをイメージしてもらえばいいと思います。

「タイプ別WORKBOOK」の表紙

「タイプ別WORKBOOK」の取り組み方―私の場合―

 先ほど述べたように、「未来のあなたをイメージしましょう」は8、「未来のあなたを叶えるために」は15の質問があるので、一気にやるのは難しいです。私は何日かに分けて取り組みました。1回に1時間くらいかけてやっても、1週間くらいはかかりました。

 PDFなので、私はA4サイズの紙に両面印刷をして半分に折って、いつもメモを書いているノートに挟んで持ち歩いていました。移動時間や病院等での待ち時間にやったり、休日の朝、カフェで1時間くらい時間を取って集中して取り組んだりしました。

 

 

「未来のあなたをイメージしましょう」をやってみて

 ワークに冒頭では、「どのような影響力を発揮しているか」という質問があります。おそらくこの質問は、自分が影響力を与えている姿、つまり将来のなりたい姿のイメージだと思いました。私の場合、「「占領期の沖縄教育史と言えば、萩原真美」と思われている」と書きました。「影響力」と聞かれたのでこの言葉が浮かんだのですが、自分の専門分野で自分の名前が真っ先に挙がる研究成果を挙げることは、研究者として重要なことだと思っています。

 そのキャッチフレーズを書いたあと、さらに影響力を与えている自分のイメージを具体化する質問が続きます。その質問に答えていく中で、まだ現実になっていなくても、将来そうなっていることが想像しやすくなります。まるで未来の自分に会っているような不思議な感覚を抱きました。

「未来のあなたを叶えるために」をやってみて

 このパートは二つに分かれています。一つが「あなたの大切なことを明確にする」、もう一つが「あなたの不要なことを明確にする」です。

 「あなたの大切なこと」のほうは、過去の自分を振り返り、うまくいった経験を思い返す作業をします。そのあとに、目標とする人物、自分の興味関心などを書き出し、最終的にその中から今すぐ取り組むことを書きだすようになっています。

 そのワークをやってみて、今すぐ取り組むことの中には、意外にも研究に直結することではなく、たとえば琉球王国時代の衣装やウチナーグチを知ることが出てきました。研究テーマと関連しているけれど、自分の研究対象時期や内容と少し離れていることだったのが面白かったです。

 「不要なこと」については、仕事から私生活に至るまで、たくさん出てきました。特に、「本当はやりたくない、仕方なくやっていること」が多かったです。それを書き出したことで、自分でやる必要がないのに、思い込みでやるべきだと思ってやっていることは、ぜひ整理していこうと思いました。整理したいことの中には、研究に関することはなかったです。「本当はやりたくない、仕方がなくやっていること」に時間を取られて、自分がやりたい研究にあまり時間が費やせていないことを認識しました。  

 研究で世の中に影響力を与えるには、「本当はやりたくない、仕方がなくやっていること」のうち、辞めることを決め、その分研究に費やせるようにすることが必要だと分かりました。

「自分への感謝」を書いてみて

 最後のワークは「自分への感謝」を書きます。自分がネガティブになったときにどんな言葉をかけたいかを意識して感謝の気持ちを書くのですが、私の場合、書いているうちにもう一人の自分が自分を励ますような文章になっていました。現時点で不安に思っていることに対して、客観的な視点から具体例を挙げて、「○○だから大丈夫。心配しなくていい」というものになりました。書いた結果、確かに不安な気持ちは和らいだ気がします。

「タイプ別WORKBOOK」を自分ならどう活用するか

 このワークブックは、主に経営者(社長)あるいはこれから経営者を目指す方に向けて開発されたもので、少なくとも研究者のために開発されたものではありません。研究者である私が、ささやかな好奇心から取り組んでみましたが、ワーク自体は、経営者の方以外にも広く活用できる汎用性の高いものだと思いました。

 私は「研究者」という職業なので、一研究者あるいは一個人として、このワークブックを自分ならどう活用するか(このワークをやった後、実行してみたことを含む)述べたいと思います。

1.自分が研究を行う目的を深く考える機会にする

 研究者はややもすると、自分の問題関心に沿ってひたすら研究したり、あるいは大学・研究機関・企業等に所属している場合、業務の関係上必要に迫られて取り組むものがあります。それ自体は問題ないと思いますが、研究成果を挙げた先には、それがいかに世の中に還元できるかを認識する必要があると思います。そうでないと、「研究のための研究」になり、研究の世界だけに閉じてしまう可能性があるからです。研究は人類の共有知的財産だと思うので、長いスパンで見て、どう役に立っていくのかを意識していくことが重要だと思いました。

 このワークは、自分がどのような姿勢を持っているかを確認する内容になっているので、定期的に行うことが大事だと思います。私はこのワークをやるのに1週間以上はかかりましたが、最初の方に書いたことと最後の方に書いたことは、多少ズレを感じました。たった1週間でも変わるので、年に数回はやると効果が高いと感じました。

2.研究が進まないときの点検として

 業務の多忙さや気持ちが乗らないなどの個人的な事情から、研究が進まないことがあります。その原因が何かを確認するツールとして活用できると思いました。特に、「未来のあなたを叶えるために」の「あなたの不要なことを明確にします」という項目のワークが、該当すると思います。自分の思い込みで、自分がやらなくてもいいことを必要以上にやっていることがあります。自分の場合は特にその傾向が強いです。「研究すること」を仕事にしたくて研究者になったのに、思うように研究の時間が確保できないことが大きな悩みですが、公私ともに自分があまり気が進まない・やらなくてもいいことを整理し、その分研究に費やせるように「事業仕分け」の必要性を痛感しました。具体的に書く仕様になっているので、書き出したことはやめていきたいと思います。

3.一人でやった後に他者とシェアする機会を持つ

 今回、このワークを一人でやりましたが、一人でやった後、他の人とシェアをすると良いのではないかと思いました。文系だと密な共同研究の機会は多くないですが、共同研究の科研費を申請したり、科研費の研究成果として共著の書籍を書く機会はあるので、仲間同士でシェアをする機会が持てると良いのかもしれません。

 あるいは、全く違う職業の方同士でワークショップのような形でやってみるのも面白そうです。どうしても自分一人で考えると視野が狭くなりがちで、同じ業界同士だと業界の「見えないルール」にいつのまにかとらわれていると思うので、それが何であるかを知る機会にもなると思いました。

4.自分仕様にワークシートをカスタマイズ

 ワークの中に、働き方に関する質問があるのですが、私の場合、1週間のスケジュールを書いていました。人によっては1日だったり、1ヶ月で把握することがあるかもしれません。文章だけでなく、図等に落とし込んだ方が把握しやすい人は、自分で追加のワークシートをつくるなり、別のノートに書くなりしてみるのもいいかもしれません。このワークをワークショップ等でやる場合は、その参加者に合わせてワークシートをカスタマイズしたほうが、さらに取り組みやすく、効果があるのではないかと思いました。

 ささやかな好奇心から取り組んだ「あなたの影響力を知る!タイプ別診断」と「タイプ別WORKBOOK」。思いの外やりごたえがあったので、詳細に感想を書いてみました。ボリュームがあるの時間はかかりますが、そのくらい時間をかけて自分と向き合うことも、社長(経営者)であれ、他の職業であれ、必要なのではないかと思いました。忙しいとつい自分のことを後回しにしてしまいますが、「急がば回れ」の言葉のとおり、じっくり自分と向き合うことでかえって進展があると感じました。

 


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