2023.09.02

内部進学から一転して総合型選抜で上位校に合格した決め手(1)決断~1次試験合格まで

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はじめに

 大学の附属校に通う生徒さんの多くは、最初から附属の大学に通うことを想定して、中学または高校受験をしたのではないでしょうか。本人・ご家庭とも、そのつもりで学校生活を送っているケースがほとんどだと思います。

 ところが、高3になって自分のやりたいことがはっきりし、附属の大学ではそれができないことが分かり、妥協して附属に進学するか今から受験をしようかと悩む場合があります。

 今回の記事では、高3で自分の本当に学びたいことが分かり、結果的に自己推薦・AO入試(現総合型選抜)で本人が学びたいことをストレートに学べる大学に進学した事例をご紹介します。この事例はラッキーなことに、附属の大学よりも上位校に合格することができたのですが、そのコツもお伝えしたいと思います。

きっかけは学年末の挨拶 

 今回ご紹介するのは、Kさんという女子生徒さんです。彼女の概要は以下の通りです。

・中学受験を経て、大学附属の中高一貫校に進学

・筆者との関係性:地理の授業担当者(高2の時)

・陸上部に所属。高3の夏まで活動。

・高3になる直前まで内部進学しか考えておらず、大学受験の準備は特にしていなかった。

 Kさんが進路を大幅に変えるきっかけになったのは、彼女が高2の学年末に、友人の付き添いで私に挨拶にきてくれたことでした。その時に、地理が中学受験の時からすごく好きなのに高校では「5」を取ることができなくて悔しかった、本当は地理を専門に学びたいと思っていることを話してくれました。

 Kさんは、中学校入学時から附属の大学に行くことを考えていましたが、附属の大学には地理学が学べる専攻がないので、附属の大学で地理に近いことを学べるのはどの専攻なのかを質問したのです。

 よく話を聞くと、地理が学びたい意思が強かったので、地理学科のある大学への進路変更を勧めました。一般受験は自信がないようだったので、自己推薦やAO入試(当時)を中心に調べてみるよう勧めました。見つけては私に報告することを繰り返しているうちに、高3の5月頃、地理学が学べるM大学のAO入試を見つけてきました。

 

 基準を確認したところ、彼女の成績(評定平均)だと高3の1学期次第ということがわかりました。そこで、以下の基準と計画を立てチャレンジすることにしました。

 ➀1学期の定期試験に全力投球して、出願基準をクリアする。

 ➁出願基準がクリアできなければ、附属の大学に進学する(ほかの大学は受験しない)。

 ➂AO入試の対策は、1学期の期末試験後すぐに始める。特に夏休みに重点的にやる。

1学期:出願基準クリアに全力集中

 出願基準のクリアには、評定平均を上げることが重要です。そこで、高2までのすべての科目の成績を確認し、どの科目に力を入れれば評定平均を上げられるかを見直し、重点科目を絞りました。

 中間試験が終わった時点で、Kさんとすぐに面談。試験の素点を確認し、期末試験の目標点数を決めました。中間試験が終わってからすぐに期末試験の対策を始めました。

 強く意識した効果があったのか、評定平均が上り、出願の基準をクリアできました。 

1次試験対策

 M大学では、1次試験は書類審査と小論文、2次試験が地理の学力試験と面接です。そこで、夏休みは1次試験対策に力を注ぎました。小論文は専門(地理)に関するものではなく一般的なことだったので、国語の先生にご指導いただいたので、(1)任意の添付書類、(2)志望理由書に絞って書きますね。

(1)任意の添付書類

 総合型選抜(旧AO) 入試の提出書類には、高校の推薦書、内申書、志望理由書のほかに、「任意の添付書類」が課されることがあります。例えば、自分でつくった作品の画像、プレゼンテーション資料等です。結論から申し上げると、「任意の添付書類」は自己アピールになるので、原則提出することをおススメします。

 Kさんが受けた入試でも「任意の添付書類」があり、その内容は自分で書いた論文やレポート等。これに取り組むことが明らかにアピールになると思い、その意味をKさんに説明して、力を入れて取り組んでもらいました。

 ところで、地理学はフィールドワークを重視する学問です。フィールドに足を運び、その地域の方に話を伺い、その地域の課題を明らかにすることが基本となります。Kさんが関心を持っていることで、調査可能なフィールドを検討した結果、Kさんの地元を対象に、農業や緑化政策について調査することに決めました。

 この課題をやってよかったのは、Kさんはフィールドワークが非常に得意だと分かったことです。全然知らない人に声をかけることも抵抗がないというか楽しかったようで、初対面で声をかけた農家さんにお昼ご飯をご馳走になったエピソードを聞き、本当に地理学が向いていると判断しました。このことは面接でアピールできるネタになります。

 論文は、まず書き方(形式)を指導し、出願ギリギリまで何度も推敲を重ねて仕上げました。結果的に原稿用紙15枚以上になったと思います。

(2)志望理由書

 Kさんは夏休みにM大学のオープンキャンパスに行き、指導していただきたい先生に出会うことができました。そこで、次のことをポイントに「志望理由書」を仕上げました。

・オープンキャンパスの印象と興味を持った先生の論文から学んだこと

・今回やってみた研究(任意の添付書類)について

・フィールドワークが得意だとアピール

・大学で学びたいテーマ

・将来就きたい職業の方向性

 これに加えて、自分が受験した時の志望理由書のコピーを保存していたので、何をどう書いたらよいか例示し、週に1回以上は添削をして、これ以上できないくらい何度も推敲して仕上げました。

おわりに

 こうして無事書類を整え出願しました。待つこと2週間。結果は、無事1次試験突破。2次対策とその結果は、次回の記事でお伝えします。

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