2022.12.31

研究者・萩原真美の10大ニュース2022【後編】


 前回の記事では、研究者としての2022年10大ニュースとして、第10位~6位までについて書きました。今回はその続編として、第5位~1位をお伝えしたいと思います。
 第10位~6位の記事は、以下からご覧いただけます。

5位 宮路秀作先生との教育談義が実現(11/15)

 宮路秀作先生(代々木ゼミナール地理講師・コラムニスト)のVoicyを、一ファンとして拝聴しております。ある日のライブ配信で突然マイクを振っていただき、少しだけ教育についてお話させていただきました。その際、何も準備もせずお話ししたので、改めて教育の話をすることをお約束しました。
 なかなか予定が合わず実施できていなかったのですが、約半年後、念願叶って11月15日に実現!テーマはずばり、「教育費を無駄にかけるな」です。言いたいことがありすぎて、自己紹介だけでも1時間かかってしまい、教育談義は残りの1時間と相成りました。
 宮路先生も私も教育業界におりますが、与えすぎる教育には疑問を感じており、そんな話を率直にさせていただきました。以下のリンクから視聴いただけます。


 前編「萩原先生ってどんな人?」➝ https://voicy.jp/channel/803/420559

 後編「教育学者として、そして母として」➝ https://voicy.jp/channel/803/420600


4位 2年半ぶりの沖縄訪問叶う(8/6~7)

 仕事柄、コロナ禍以前は年に数回沖縄に調査等に行っていました。2020年2月下旬の沖縄調査を最後に、沖縄訪問ができておりませんでしたが、このたび2年半ぶりに沖縄訪問が叶いました。目的は調査と講義。1泊2日の弾丸スケジュールでしたが、沖縄研究を始めてからこんなに期間が空いてしまうことはなかったので、感慨深かったです。

 講義は、桜坂市民大学「つながる沖縄近現代史講座」で、「学校教育から考える沖縄近現代史」というテーマでお話ししました。リアルとオンラインのハイブリッドで実施し、地元の方と遠方の方の両方に参加いただき、大変刺激を受けました。当日は、研究仲間で『つながる沖縄近現代史』編著者の前田勇樹さんに多大なるサポートをいただき、大変スムーズに実施できました。

 調査先は沖縄県立図書館。近代の新聞を中心に調査しました。いつものことではありますが、とにかく時間が全然足りませんでした。短時間ながらも重要なことは確認できたので、論文に反映したいと思います。

つながる沖縄近現代史講座の会場、桜坂劇場(2022.8.6 萩原撮影)

3位 憧れの『現代用語の基礎知識2023』にコラム執筆

 毎年11月に発刊される自由国民社の『現代用語の基礎知識』。その年のトレンドや新語を加えて編集された、年鑑の性格を持つ雑誌ということは、言うまでもないことだと思います。
 この『現代用語の基礎知識』に、このたび初めて執筆のオファーをいただき、コラム「米軍占領下と復帰後の学校の変化」を書かせていただきました。自由国民社様にはこの場を借りて心よりお礼申し上げます。
 わたしにとって『現代用語の基礎知識』は特別な存在で、天にも舞う思いがしました。なぜ特別なのかというと、高校3年生で大学受験の入試対策で『現代用語の基礎知識』を穴のあくほど読み込んで、小論文対策をしていたからです。この雑誌なしには受験は乗り越えられなかったほど、大変お世話になりました。その『現代用語の基礎知識』に30年後に自分が執筆者側になるとは…。感無量でした。

 オファーをいただいたきっかけは、共著で執筆した『つながる沖縄近現代史』。同書では、明治期から復帰前あたりまでにわたる約100年間の沖縄近現代教育史について書きましたが、それをお読みいただき声をかけてくださったとのことでした。本当にありがたいご縁です。

献本していただいた本とお手紙

2位 萩原真美-オフィシャルサイト‐ リリース(11/24)

 

 2022年に密かに大きな目標としていたのは、研究者としての個人ホームページを作成すること。念願かなって、11月24日に無事リリースすることができました。
 一研究者として、論文、著書の執筆、学会発表、講演会など、研究成果を発信してきました。しかし、それをまとまって情報を得やすいような発信はできていなかったので、今年の目標として、「絶対に自分のホームページをつくる」ことを決め、合間を見て準備をしていました。

 当初、研究室のホームページとしてサイトを作成していました。ですが、作業をしていくうちに、研究室のことだけでなく、研究者としてやっている諸活動や、これまでのキャリアなども総合的に発信したいという思いが募っていったのです。

 悩んだ末、➀本サイトで研究者個人のホームページ「萩原真美-オフィシャルサイト‐」と、➁研究室のホームページ「萩原真美研究室」の2つに分けてリリースいたしました。

 特に、本サイト「萩原真美-オフィシャルサイト‐」では、沖縄や教育に関する発信はもちろんのこと、一研究者・教育者としての思い、展望、人生経験、そして私とつながりがある方々のことなど、幅広い方・地域に情報をお届けできるよう尽力していく所存です。

 なお、本サイトのリリースにあたっては、様々な立場の方のご協力とご縁で完成させることができました。誕生秘話については、後日別記事にしてお届けします。

1位 第43回沖縄研究奨励賞社会科学部門 受賞(1/19)

 栄えある第1位は、「沖縄研究奨励賞」の授賞を選びました。研究対象となったのは、博士論文を著書にした『占領下沖縄の学校教育』に関する研究です。➀未解明だった、戦後初期の教育制度の成立過程を明らかにしたこと、➁沖縄戦からの復興に際し、沖縄独自の教科書や副読本を用いて教育することと、沖縄の人々が描く未来像のつながりを解明した点 を評価していただきました。

 本研究を通じて、世の皆さんに伝えたい意図を十分ご理解いただき、その点を評価していただいたことが、何よりも嬉しく思いました。このような栄えある賞をいただいたということは、この知見を広め沖縄の発展に貢献すること、戦争という惨事から復興をするには「教育」がもつ力は計り知れないことの2点について、根気よく伝えていくことを改めて決意いたしました。

 唯一残念だったのが、コロナ禍のため授賞式が中止になってしまったことでした。授賞式は叶いませんでしたが、すばらしい盾と副賞を頂戴いたしました。その盾(下の写真)は、沖縄の著名な工芸家・芸術家の皆様によって作られ、最高峰の琉球・沖縄文化の縮図ともいえる作品。家宝となりました。

沖縄協会 第43回沖縄研究奨励賞の盾

2022年を振り返って

 研究者としての2022年を一言で表すと、「研究成果のアウトプット」の一年でした。授賞に始まり、市民の皆さん向けの講演・講義、一般書(雑誌)のコラム、YouTubeやVoicyなどのメディア出演、そして個人HP立ちあげという流れでした。

 その一方で、論文は何とか出すことができましたが、新たな研究での論文・学術書の執筆、学会発表ができませんでした。これが今年の大いなる反省です。

 来年は、研究者としての本来の務めである研究活動、具体的には新たなテーマでの学会発表、論文執筆等にもう少しコミットできるよう努力したいと思います。その一方で、研究の世界に閉じないアウトリーチの重要性や必要性を強く感じたので、拙HPを拠点とした発信にも力を入れていきたいです。


 本年も拙研究および研究活動にご関心を寄せていただき、誠にありがとうございました。2023年が皆様にとって、幸多き一年となりますことを、心より祈念申し上げます。

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